ブッダとイ
エスの二人が下界(立川の六畳一間)で休暇を過ごすコメディ。二人の聖人にまつわる故事成句をギャグにしたおす
中村光の発想力の勝利というほかない。プールに遊びに来た話では、イ
エスがカナヅチであることを
ブッダに告白するのだが、これを
ヨハネによる洗礼が水を頭からかけるだけになった理由や、泳ぐのがいやで湖面を歩いたエピソード(マタイ
福音書14章)に結びつけるところなどは、元ネタ(
新約聖書)を知っていればおもしろさ倍増。あるいみで、これもパロディマンガの一種なのだろうか。
ブッダが妙に家計にうるさかったり、イ
エスが
ジョニー・デップに似ていると女子高生に言われて喜んでいるなど、聖人のわりにきわめて庶民的な感覚の持ち主なのも読んでいてほのぼのする。作中では商店街のイベントで漫才をするシーンがあるけれども、1巻を通して主要人物二人だけの会話劇で進むこのマンガは、まさしく
ブッダとイ
エスのかけあい漫才だと言える。まあ、信仰のある人には笑えないかもしれないが。